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『銀河英雄伝説Die Neue These』のメインスタッフインタビュー企画。『星乱』のイベント上映開始前、最後の更新となる第12回目は、再び多田俊介監督が登場。セカンドシーズンの見どころなどを語って頂きました。
率直な気持ちを言えば、やはり、2クールの作品を作っている感覚です。ただ、セカンドシーズンをファンの皆さんに観てもらう前に、ファーストシーズンを何度も観返す機会があって。客観的に分析し、「良いから伸ばしていくべきところ」や、「少し不足もあったかな」というところを明確にすることができました。
非常に大勢のキャラクターが登場する群像劇ですが、俯瞰して物語を描いくというよりは、登場人物になるべくカメラを寄せていく作り方をしていて。そこは成功している部分なのかなと。例えば、第6話でヤンとフレデリカがローゼンリッターの練兵場を訪ねて行く時の訓練風景や、気の荒い隊員に絡まれたフレデリカが体術を繰り出すところは、僕も好きなシーンです。あとは、第7話でイゼルローン要塞に潜入したシェーンコップが敵に取り上げられない武器として万年筆を使い、しかも、その万年筆は、元々は帝国の人間だったことの象徴でもある。そういう一人一人のキャラクターのドラマの掘り下げは、これからもどんどんやっていきたいと思いました。そこは、自分が『銀英伝』の原作を新たに映像化するとしたら、こういうことを表現したいと最初から考えていた部分なので。
完全に、その通りなんです。プロジェクトとして、その形で発表することが決まっていたので、(テレビ放送された)ファーストシーズンもイベント上映基準で作る必要がありました。テレビ放送されていた時、業界の知り合いから、「テレビであんな映像を作ってたら、(制作スタジオのProduction)I.G、潰れるだろ」みたいなことも言われたのですが(笑)。プロジェクトとして、劇場のスクリーンでも充分なクオリティを求められていたんです。
キャラクターのお芝居に関しては、よりパワーアップしていることを感じています。現場のアニメーターたちが、それぞれのキャラクターの生かし方をより深く理解してくれているので。
はい。いろいろなキャラクターのシーンで、そういう要素が散りばめられています。セカンドシーズンだと、特に(銀河帝国軍の)オフレッサーは、独自の膨らませ方をしているキャラクターなので、ぜひ楽しみにしていてください。あとは、今まで「ラインハルト憎し」と口で言っているだけだった貴族連合がかなりフィーチャーされてくるので。そういったキャラクターたちのドラマも見て欲しいですね。
PV(ロングPV)にも出てきますが、ヒルダ(ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ)は一番の目玉になるのかなと思います。ヤンにフレデリカがいるように、ラインハルトにはヒルダがいる。そういう風に、ある意味で対照的な関係性ができあがる形ですね。
原作からそうなのですが、『銀英伝』の女性キャラは、女性であることを売りにはしていないんですよね。かといって、女性であることの魅力がなくなるのもおかしいと僕は思うので、「女性を武器にしてないけれど、魅力的な女性」という難しい表現に挑戦しています。
ある時、スタジオで久しぶりに花澤さんに会ったんですよ。僕は、『Die Neue These』の前もほとんど男性キャラしか出てない番組をずっとやっていたので、たぶん、5年ぶりくらいだったんです。しかも、僕の番組に出てくれたわけではなく、たまたまスタジオで会っただけだったのですが、「多田監督、ごぶさたしております!」と挨拶をしてくれて。「もう、君で決まり!」って(笑)。
まあ、今のはネタ話ですけれど(笑)。元々、花澤さんには出てもらいたいと自分の中では決めていたんです。そのタイミングで久しぶりにお会いして、これも何かの縁だとは思いました。それもあって、決めていたとおり、花澤さんにお願いすることにしたんです。ちょっと上から目線の言い方になってしまうのですが、花澤さんもキャリアを重ねて、いわゆるヒロインだけじゃなく、さまざまな役をたくさんやられるようになっていて。先ほど話したような、「女性であることを売りにはしないけれど素晴らしい女性」を表現してもらえるだろうと思ったんです。キャラクターデザインも先に上がっていたのですが、声質もすごく合うだろうと感じていましたし。
先ほどもお話ししましたが、『Die Neue These』は、映画館で上映されることを前提に作ってきた作品なので、映画館で観ることが一番の正解なんです。だから、ぜひ映画館に来て欲しいです。セカンドシーズンでは、「同盟軍対帝国軍」ではないドラマが展開していくのですが、9月27日(金)からの第一章は、その始まりとなります。ここを見逃すと、後々のドラマの発展も分かりづらくなってしまうので、第一章から映画館で観てください。
[取材・文=丸本大輔]