銀河英雄伝説 Die Neue These
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2022/11/22
11月15日(火)ドイツ語監修スタッフトークレポート

11月15日(火)に東京の新宿ピカデリーにて、『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』第二章のスタッフトーク付き上映会を開催いたしました。
ドイツ語監修を担当されているマライ・メントラインさんが登壇した、スタッフトークのレポートをご紹介します。

郡司Pに呼び込まれ、マライさんが登壇し挨拶を終えると、ノイエ銀英伝の“ドイツ語監修”をテーマにトークが繰り広げられました。

↓以下、本編のネタバレを含みます。










銀河帝国の公用語には、ドイツ語が採用されています。マライさんは、磯部アニメーションプロデューサーがドイツ語監修の適任者がいないか探していた時期に、ノイエ銀英伝のメカ設定をまとめてくださっている編集者の吉祥寺怪人さんの紹介で携わっていくことになったそうです。

マライ「お話をいただいた時は、銀英伝はもちろんI.G作品のファンだったこともあって嬉しかったです。そもそも銀河帝国がドイツ的な文化となったのは初代皇帝ルドルフが脳内で考えていた“かっこいいドイツ文化”を適用していったわけで、本当のドイツではないのです。いわば“脳内ドイツ”なわけです。このため、監修の際には、一般的にドイツっぽいとイメージされるようなウムラウトやエスツェットをつけたり、長めの単語を選んだりして、『らしさ』を強調しています」
郡司P「銀英伝ではドイツの人から見ると、かなり古い人名が使われていると、大学生の時に友人に聞いたことがあります。実際どうなんでしょうか」
マライ「確かに貴族がいた古い時代の名前が使用されています。今のドイツの名前の流行は二文字とか短めになっています。逆に銀英伝では長めの方がカッコいいんじゃないかという厨二病的な『脳内ドイツ』が再現されているんだと思います。監修する時にも、『脳内ドイツ』には気をつけている部分です」

マライさんの初めてのお仕事は、ダイニングカフェ・イゼルローンフォートレスのドイツ語監修です。


【画像】オリジナルコインのメール文/デザイン案

マライ「お店に行くと、来場者プレゼントとしてオリジナルコインが貰えます。帝国コインに記載の「銀河帝国」をドイツ語で表現する際に「GALAKTISCHES KAISERREICH」「GALAKTISCHES REICH」の2択で悩みました。最終的には原作でも「帝国」に「ライヒ」とルビが振られている描写もあり固有の表現で収まりもいいため、「GALAKTISCHES REICH」とすることを郡司Pと相談して決定しました」


【画像】スタンプカード

マライ「スタンプカードも一度日本語をドイツ語に変えた文章を頂戴して、細かな部分を修正していきました。全体のデザインも見て、バランスを考えて手を加えています」

続いて、話題は捕虜交換の際のキルヒアイスの署名について移っていきました。実はキルヒアイスの署名は、マライさんの手書きだそうです。

マライ「私ではない他の人のサインですし、男性と女性の文字は日本語同様に雰囲気が異なるので苦労しました。筆記体はドイツ人なら誰でも書けますが、ノイエ銀英伝の世界では現代よりも、プロイセン時代の文字を使用しているイメージを持っていました。それを再現するために、当時の色々なサインをネットや図書館のアーカイブで調べました」


【画像】

マライ「Sという文字1つとっても、様々な種類があるんです。お気に入りの文字が見つかるまで、練習を兼ねて色々な筆記体を書き出したので、リビングが紙の海になっちゃいましたね(笑)」


【画像】(プロイセン時代のサインを模した)マライさんのサインの練習画像

そして、マライさんがお気に入りだという30話のフェザーンの証券取引所での株価ボードが紹介されました。
郡司P「ある日、30話の演出の小笠原さんから、『郡司さんって金融出身で株について詳しいですよね』と無茶振りで株価ボードの作成を頼まれたんです。映像を実制作したのはモーショングラフィックの青木さんですが、株価ボードに表示される文字や数字のロジックを考えないといけなくなりました。」
マライ「劇中画面にリアルに表示をさせたいのとこで、郡司Pが具体的にDAX(=Deutsche Aktien Indexの略でドイツの株価指数のこと)や実際の昔のドイツの株価モニター画面などを調べられていました。これをノイエ銀英伝では、一体どういう風に表現していくべきなのか、株価指数のドイツ語での綴りはどうするか、一緒に精査していきました」


【画像】郡司P作成&マライさん監修の株価の画面

郡司P「そして実際の画面がこちらです」


【画像】採用されたフェザーンの証券取引所の様子(赤枠が入っている部分)

マライ「株価ボードがどこにあるか探してみてください。」
郡司P「あれだけ監修にお時間使っていただいたのに、画面見たらかなり小さかったです…」
マライ「でも、こういう細かいところにこだわるIGがすごく良いと思います」
郡司「30話の本編中で大きく映し出されている株価ボードはハイネセン株式市場のもので英語で表現されています。中立地帯なので、同盟・帝国双方の株が取引き可能だろうというロジックにしてあります。」

そのほかにも、マライさんには三越コラボの「シェーンコップからの招待状」の翻訳と筆記や「双璧からの紹介状」の翻訳、玉虫塗りワイングラスのフット部分にあるラインハルトとキルヒアイスのイニシャルの飾り文字なども担当していただいています。様々な部分でドイツ語らしさを存分に表現されていることがわかったところで、締めの挨拶のお時間となりました。締めの言葉を求められたマライさんが「ファイエル!」と一言発すると、この日一番の拍手が会場から巻き起こり、スタッフトークは終了しました。


登壇者:マライ・メントラインさん(ドイツ語監修)


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