11月8日(火)に東京の新宿ピカデリーにて、『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』第二章のスタッフトーク付き上映会を開催いたしました。
設定協力を担当されている白土晴一さんが登壇した、スタッフトークのレポートをご紹介します。
郡司Pに呼び込まれ、白土さんが登壇し挨拶を終えると、帝国軍と同盟軍の軍服に特化して“衣装考証”をテーマにトークが繰り広げられました。
↓以下、本編のネタバレを含みます。
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設定考証とは、白土さん曰く、マンガやアニメなどの「“架空世界における、もっともらしい設定”を作る手助けをする」仕事。作品ごとに違う作業を行なっているそうですが、ノイエ銀英伝は原作小説の世界観を壊さないようなアドバイスを行っているとのことです。
まず、帝国軍の元帥/上級大将の軍服について話がスタートしました。
白土「帝国軍はドイツの軍服を参考に作られています。今回はナポレオン時代のダブルブレスト型(前身ごろにボタンが二列ついているタイプ)の方向性でラフが上がってきていいました。架空世界の軍服なので、これまでの軍服の歴史と揃える必要はないのですが、多田監督からの希望もあり、ユニフォーモロジー(軍服の文法や作法のようなもの)に沿ってデザインの細かい部分を調整していきました」
【画像】ラフ:帝国軍 元帥/上級大将
白土「ラフにある、腰の拳銃帯(拳銃や弾納を収納するもの)やサッシュ(身体に着用する帯状のもの)は、戦場で武器等の装具を吊るすためにデザインされたものなんです。ノイエ銀英伝でラインハルトが銃撃戦を行うシーンはないので、無くした方がストレートに決まってカッコいいのではないかと提案しました。ノイエ銀英伝は架空の軍服ですが、帝国軍は19世紀的・古典的な軍服の美しさが出るように衣装考証として歴史的事例をお伝えしていきました」
【画像】決定稿:帝国軍 元帥/上級大将
白土「元帥の肩の飾りに元帥杖のデザインが追加されて、上級大将と比較して華やかになっています。基本的に軍服は階級が上がれば上がるほど、刺繍が多くなってくるんです。ただ、あまり細か過ぎると動かすことが難しくなります。アニメーションとして実現できつつ、ディテールの豪華さを失わずに表現できるかを考えた結果、決定稿のようなデザインに落ち着きました」
続いて、帝国軍の軍礼服に話題は移っていきました。
【画像】ラフ:帝国軍 軍礼服
白土「多田監督に、ジャケットの袖を片腕だけ通して、もう一方は腕を通さないヨーロッパの軽騎兵のファッションについて話をしました。多田監督がそれを取り入れたいとおっしゃってくださったこともあり、肋骨服(胴体全面に横向きに飾紐が複数本ついた、あばら骨のような軍服)を使用してそのスタイルを再現すれば、礼装として様になると思いました」
【画像】決定稿:帝国軍 軍礼服
白土「最終的にモダンな形を残しつつ、マントのようなデザインは残しました」
郡司P「このコートドレスを着用したラインハルトが歩いてくるシーンがめちゃくちゃカッコよくて、私大好きなんですよ」
そして、話題は同盟軍の軍礼服に移っていきました。
【画像】ラフ:同盟軍 軍礼服 【画像】決定稿:同盟軍 軍礼服
白土「情報量の多さが、帝国軍と同盟軍では大きな差ですよね。同盟軍は、イギリスやアメリカの現代のスーツスタイルのような開襟デザインになっています。帽子はベレー帽がいいのではないかという話が、実は初期からありました。帝国軍は帽子を被っていないので、二つの軍の違いを際立たせるためにも、そのまま残されました」
郡司P「大将の衣装も、貴族社会じゃない分どちらかというと装飾が少ないですね」
白土「装飾がゴテゴテしていないと市民社会を表しやすく、ラインが上から下までストンと下がるシルエットだと近代感が出せます。帝国軍はウエストがキュッとなった洋梨型のシルエットにして、昔の軍服だということを強調しています」
以上のように、さまざまな衣装について拘りをお伺いしたところで、最後の挨拶になりました。
白土「ノイエ銀英伝が長く続くコンテンツになりましたが、終わりまでも長いと思います。皆さんに最後までお付き合い願えれば、スタッフ一同頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
それを受けて会場は大きな拍手に包まれ、この日のスタッフトークは終了しました。
登壇者:白土晴一さん(設定協力)