銀河英雄伝説 Die Neue These
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2022/10/20
10月12日(水)スタッフトーク オフィシャルレポート

10月12日(水)に東京の新宿ピカデリーにて、『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』第一章のスタッフトーク付き上映会を開催いたしました。
本作で美術監督を務められている株式会社Bamboo代表の竹田悠介さんが登壇した、スタッフトークのレポートをご紹介します。

MCを務める本作のエグゼクティブプロデューサーの郡司幹雄さんに呼び込まれ、竹田悠介さんが登壇し挨拶を終えると、“背景美術”をテーマにトークが繰り広げられました。

————————————————————————- 以下、本作のネタバレを含みます ————————————————————————-
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最初に竹田さんの経歴と代表作について、郡司Pから「I.Gのアニメーション作品は、Bambooさんがいないと成り立たないんです」と紹介がありました。
磯部プロデューサーに話を持ちかけられた時、既にI.Gが銀英伝の新作アニメーションを制作することをニュースで知っていたという竹田さん。
実は新人の時には石黒監督版銀英伝に参加されていたそうです。そんな縁と、天体ものの背景美術が得意なスタッフがいるということから、本作への参加を決めたと語りました。

続いて、本作の背景を担当されているBambooスタッフの垣堺さん、山田さん、西野さんのお気に入りの背景を紹介してくださいました。
まずは、垣堺さん。


ラインハルトたちが若い頃に住んでいたアパートメントの夜の風景

アニメの本編だと全景で映らなかったり、キャラクターで隠れてしまったりするが、光の差し込み具合や、細かな模様まで作成しているそうです。
竹田「デザイン画は既に出来上がっていて、元のレイアウトはものすごく緻密に描かれていることがわかります。それにどういった光や質感を与えるのが僕たちの仕事です」

二人目は、山田さん。


フェザーンのアッシニボイヤ渓谷シューマッハのオフィス

竹田「山田に、もっと凄い絵もあるのに、どうしてこれにしたのかと聞いてみたんです。そうすると、普通に描くメカはつるんとした質感にするんですが、使い込んだ雰囲気が欲しいという要望があったこともあり、金属的な質感であると同時に使い込まれた汚れや傷を表現できたそうで、本人も作っていて楽しかったようです」

最後は、西野さん。


イゼルローン要塞内部軍港の埠頭

竹田「大画面で映えるスケールの大きな絵で、密度があるので、1週間近くかけて描いていました。3色の異なる光で止まっている戦艦の状態が見分けることができる設定があり、デザイナーさんの指示に従って背景も描いています」

3名のお気に入りシーンの紹介が終わり、話は本編でも印象的な26話のロイエンタールの回想シーンについて。
郡司Pは初めて見た時に、色遣いと記憶なのか幻想なのかわからない独特な雰囲気がかっこいいと思ったそうです。

竹田「ただの回想シーンや楽しい記憶ではないので、モノの固有色というよりは心象風景に重きを置きました。基本的には、緑と赤の補色関係という人が決して落ち着かない色調にしました。多田監督からもオーダーがあり、本編中にこういった心象に寄り添った数少ないシーンで、ザワザワするような雰囲気を出せたら良いなと思いました」

その後、アニメーションの作り方に話題は移っていきました。
まず、基本工程の解説からスタート。レイアウトという構図をアニメーターが作成して、原図分けで動くもの(原画)と動かないもの(背景)に分かれて作業を行います。そして撮影で、2Dの作画や背景美術、使用している場合には3DCGなど複数の素材を組み合わせるコンポジット(=合成)を行います。そこで、撮影監督が色調を整えるなどの工程を経て、1つにまとめていきます。


竹田「細かい部分は担当者と打ち合わせて、指示がなくてもカーペットの模様を作成する場合もあります」
郡司P「ちなみに、実はここで、レイアウトの時と原画の時では、花嫁の髪型やドレスのデザインが変わっています」

そして、美しい新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)の情景も紹介されました。
竹田「ベルサイユ宮殿をモデルに、実際にない建物にどう説得力を持たせるかが、私たち美術の仕事です」

 


竹田「人気(ひとけ)がない雰囲気を絵にするのは、実はなかなか技量のいる作業なんです」
郡司P「監督や演出家さんの演出意図を汲んだ背景を作っていかないと、そのシーンの効果が出ないということですよね」
竹田「まさにそうです。特にセリフが被ってくるシーンなので、説得力を持たせるためには、この表現が必要なんです。対照的に、もっと活気のある雰囲気にするのであれば、差し込む光だけではなく、反射を増やして周りを照らして、室内を明るく見せる工夫をします」

続いて、郡司Pがお気に入りの新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)の場所として廊下が紹介されました。

竹田「この2枚が並んでいると、ライティングの違いで、同じデザインに見えないですよね。アーチ部分が非常に複雑で、形の整合性が取れないので、相当苦労して描いていました」

新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)の地下迷宮については、地上の建物と雰囲気が異なる点についても言及されました。

郡司Pが「実は、ここのシーンを見た際に、筋が通っていないとといけないため、ランズベルク伯に『この地下を作った私の祖先は縁起物(グッリュクスブリンガー)集めに凝っていてね』という台詞を付け足しました」と、裏話を披露すると、竹田さんも驚いた様子を見せていました。

竹田「建築物のモチーフは、地上はヨーロッパで、南米のアステカ文明などの遺跡を取り入れています。すでに閉館してしまっていますが、帝国ホテルの旧本館(ライト館)の設計を手掛けたフランク・ライド・ライトという建築家が、アステカ文明やマヤ文明のデザイン様式をパターンの1つに取り入れていて、石の組み方や装飾の仕方に彼のようなアレンジを取り入れています」
郡司P「絵コンテ(204番)を見るとわかるのですが、尺にするとここはわずか5秒なんです。この短い間に背景会社さんの試行錯誤があって、1カットにつながっています」

このように背景会社さんの緻密な作業と凄まじい努力によって、アニメーションが出来ていることがわかったところで締めの挨拶に。
竹田「今日はありがとうございます。背景美術は裏方なので、こういった場面で普段話すことってなかなかないのですが、本日はスタッフトークに来ていただいて、また作品を観ていただいてありがとうございます。まだまだ続くと思いますので、引き続き観ていただけたらなと思います。」
大きな拍手に包まれ、スタッフトークは終了しました。


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