銀河英雄伝説 Die Neue These
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2022/08/26
ドイツ語監修マライさんによるホテルニューオータニ(東京)『銀河英雄伝説 Die Neue These』コラボレーションルーム探訪記

「ここはまさにアスターテ星域なのです!」
ホテルニューオータニの廊下で、ドアに描かれたゴールデンバウム朝銀河帝国と自由惑星同盟の国章が互いに向かい合う。アスターテ星域とは『銀河英雄伝説』の劈頭、帝国の将ラインハルト・フォン・ローエングラムと同盟の軍略家ヤン・ウェンリーが初めて遭遇し、互いの力量を認め合った会戦の地の名。この緊迫した空気の中、どちらのコラボレーションルームを先に体験するか、戦局が動く前に決めないといけない。ノイエ銀英伝でドイツ語(正確には銀河帝国語なのだがそれを詳細に説明しようとすると文字数)監修を務めるドイツ人としてはやはり帝国側でしょ。というわけで、コラボルームに突入!

黒、赤、金の豪華な空間の中に立つのは、常に穏やかな冷静さを失わないキルヒアイスと、どうみても「ファイエル!」号令真っ最中のラインハルト様ではないか! 等身大のスタンドとセルフィー撮り放題できるのも嬉しいですが、なんと言ってもこの二人に見守られながら眠る萌えエグゼクティブ感がたまりません。

ベッドはコラボレーションクッションとロゴベッドスローで完全に帝国仕様となっており、壁も艦艇の絵や帝国貴族の家紋(というかワッペン)で飾られていて、気になるディテールがたくさん。

個人的に一番「おお!」と感じ入ったのは窓の装飾。なんと、ブリュンヒルトやバルバロッサを筆頭に、帝国艦隊が東京の空を覆うヴィジュアル演出になっているのだ。そう、これだ。私がホテルニューオータニでこそ見たかったはこの光景だ! と、ファンの潜在ニーズに完全に応える演出にプロージット! 目の前で新たな物語が生まれそうな気がします。

また、オリジナルSDキャラクターアクリルスタンドも可愛い。もしレストラン・カフェに同伴させたり家にお持ち帰りのご希望があれば、お部屋から電話で購入ができるのだ。「小さく可愛い」オーベルシュタインというギャップ萌えがここに(笑)

そしてなんといってもある意味最大の見どころは、「芸術家提督」メックリンガーの水彩画が飾ってある点。実際に絵画としてハイレベルなもので、鮮やかさと憂愁が融合したタッチが見事です。まさに、あらゆる角度・深度でファンを唸らせるノイエ銀英伝の「本気」度を痛感せずにいられません。

さて、自由惑星同盟ルームに移ります。そして、ここには大きな矛盾と課題があります。というのも、ホテルニューオータニのこの企画は「最高級の上質空間で、銀英伝の醍醐味をあなたに」というコンセプトですが、銀英伝本編の同盟側の描写にて、贅沢な環境や美食を求めるのはダメな高級軍人や政治家と相場が決まっているのです。だってヤンは生活空間に無頓着だしキャゼルヌは徹底的にファミレスが似合う男ですし(笑)、同盟艦隊の艦艇も、敢えてデザインの装飾性を排した家電的な「モジュール構築」設計ですし。

ということで真の銀英伝ファン、自由惑星同盟サポーターはホテルニューオータニの「同盟ルーム」に何を見出すか? そう、ベッドも設備も何もかも、基本スペック的には帝国ルームと同等です。しかしそこにあるのはファイエルな華美さではなく、軍隊組織の官僚的な喧騒から一時的に逃れたヤンが感じるような、ある意味「実務的な」安らぎの上質さなのかもしれません。そこにシンクロしてこそ真の第十三艦隊愛というか。

部屋は帝国ルームと対照的に青と白を基調としたデザインとなっており、やはり東京の風景をバックに、ヒューベリオン以下の自由惑星同盟艦隊が布陣しております。窓の横には等身大のヤンとユリアンが立っていて、ヤンの少しはにかむような笑顔に癒されます。

そして、そして! 帝国ルームとの数少ない決定的な違いがここに。テーブル上に鎮座する紅茶セット。ブランデー添えが超ポイント。そう、ユリアンの淹れる紅茶(ブランデーたっぷり)で神経を超癒やすことができるのです・・・見事なりホテルニューオータニ!

ちなみに同盟ルームのオリジナルSDキャラクターアクリルスタンドはヤン、ユリアン、アッテンボローですが、ホテルニューオータニの制服を着てキャスター付きのスーツケースを引っ張っている姿もなかなか似合う! やはりこの「働き感」こそ同盟の証というか(笑)

SDキャラといえば、室内のテレビに接続されたブルーレイではなんと! 帝国ルームはラインハルトとキルヒアイスの、同盟ルームはヤンとユリアンのSDキャラどうしの掛け合いで展開するウェルカムボイスに注目です。しかも声は、実際の配役の声優さんによる、ここでしか聴けない録りおろしボイスで! というあまりな贅沢さ。キルヒアイスがホテルニューオータニのことをホテルノイエオータニと言っております。さすがの生真面目さです。誰でしょうかこんな萌え死ぬしかない素晴らしい悪魔的演出を考案した人は!(笑)

ウェルカムボイスはテレビをつけて初めて存在がわかる! というのと同様、室内のあちこちに、「探ってみるとわかる」各種のサプライズが仕込んであります。たとえば、ぱっと見的に案内書きと思われるものをよく見てください。そこに「ファンなら納得」なネタが垣間見えたりするわけで。

なお帝国ルームと同盟ルーム、それぞれ異なるデザインで「オリジナルお持ち帰りグッズ」が用意されています。帝国サイドか同盟サイドか決めていないなら、この選択もまた悩みどころとなるでしょう。国章とコラボレーションロゴをあしらったトートバッグ(黒または青)のデザインで部屋を選ぶ道もアリだと思いました。グッズでトートバッグの次にグッときたのはネームプレート。一見するとホテルスタッフのネームプレートですが、それぞれの国章がワンポイントに入っていて、名前もラインハルト、キルヒアイス、オーベルシュタイン、ヤン、ユリアン、アッテンボロー。実はこういう一見地味っぽいアイテムこそ萌えマインドを深く刺激するのです。どれを服に付けるべきか、悩みます!

以上、かなり全方位的に銀英伝愛を満喫できたり試されたりする、このホテルニューオータニのノイエ銀英伝コラボレーションルーム企画。期間は10/31までです。まだもうちょっと・・・とか言っているとあっという間に秋は過ぎてしまいます。皆様、ぜひ!

取材・執筆:マライ・メントライン
ドイツ北部キール出身。ドイツ公共放送日本支局プロデューサー勤務の傍ら、報道番組出演・協力、文芸批評、アニメ『銀河英雄伝説 Die Neue These 』のドイツ語監修など、ドイツ語・文化関係業務を幅広く手掛ける。好きなアニメはいろいろあるが、例えば『人狼』とか。
本人による自身の肩書の定義は「ドイツ人」


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